所長からの今月のひとこと【⑪】~実際にあった労働相談より~

第 11 回目は、2024 年 4 月以降の「適用猶予業種の労働時間の上限規制」です。皆さんの周りでは準備はお済でしょうか?

主な内容は…
①工作物の建設の事業
災害時における復旧及び復興の事業を除き、上限規制がすべて適用されます。
②自動車の運転業務
特別条項付き 36 協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年 960 時間となります。
時間外労働と休日労働の合計について、月 100 時間未満、2~6 ヶ月平均 80 時間以内とする規制が適用されません。 時間外労働が月 45 時間を超えることができるのは年6ヶ月までとする規制は適用されません。
③医業に従事する医師
特別条項付き 36 協定を締結する場合の年間の時間外・休日労働の上限が最大 1860 時間(※)となります。 時間外労働と休日労働の合計について、月 100 時間未満、2~6 ヶ月平均 80 時間以内とする規制が適用されません。 時間外労働が月 45 時間を超えることができるのは年6ヶ月までとする規制は適用されません。
医療法等に追加的健康確保措置に関する定めがあります。
※特別条項付き36協定を締結する場合、特別延⾧時間の上限(36協定上定めることができる時間の上限)については、
A水準、連携B水準では、年 960 時間(休日労働含む)
B水準、C水準では、年 1,860 時間(休日労働含む) となります。
なお、医業に従事する医師については、特別延⾧時間の範囲内であっても、個人に対する時間外・休日労働時間の上限
として副業・兼業先の労働時間も通算して、時間外・休日労働を、
A水準では、年 960 時間/月 100 時間未満(例外的につき 100 時間未満の上限が適用されない場合がある)
B・連携B水準・C水準では、年 1,860 時間/月 100 時間未満(例外的に月 100 時間未満の上限が適用されない場合が
ある)とする必要があります。
④鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業
上限規制がすべて適用されます。
※猶予期間中も、時間外労働と休日労働の合計について、月 100 時間未満、2~6ヶ月平均 80 時間以内とする規制以外 は適用されます。


詳しくは下記厚労省のサイトをご確認ください。


https://hatarakikatakaikaku.mhlw.go.jp/overtime.html (全体に関して)
https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/ (自動車運転者に関して)
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/ (医業に従事する医師に関して)

建設業に関しては、「業界離れ」「人手不足」
トラック運送やバス・タクシーの自動車運転者に関しては、同じく「人手不足」、併せて「高齢化」
医師に関しては、「時間内労働の難しさ」「緊急時対応体制づくり」等
以上のような問題が大きくクローズアップされ、「建設コストアップ」「輸送コストアップ」「深刻な医師不足」等々が大きな 社会問題になってくる予感がします。