所長からの今月のひとこと【㉞】~実際にあった労働相談より~

第34回は、「個別労働関係紛争解決制度における『都道府県労働局長の助言指導制度』」についてです。

助言指導は、「個別労働関係紛争解決促進法」、若しくは、「労働施策総合推進法」に基づいて行われる行政支援制度です。

「解雇・雇止め」「パワハラ」「労働条件不利益変更」等の民事上の紛争について、司法手続きに進む前に、労使の自主的な解決を促す制度です。

主に、労働者からの申出に対して、裁判例などを基に、私たち総合労働相談員が実施します。

労働者側のメリットは、

  • 職場でのトラブルの問題点が明確になる
  • 法的知識が薄く思うようなことを会社に言えないことを会社に言ってもらえる(申出による解雇等の不利益取り扱いは法律上禁止されています)
  • 裁判と違い、費用も時間もかからない

事業主のメリットは、

  • もしも裁判になった場合の法的リスクを知ることができる
  • 労働者との話し合いの場を設けることができる
  • 裁判に発展する前に問題を解決できる

です。

多くの事業主は、法的リスクを知ることができることもあって、拒むことはありません。

実施時間は30分から1時間くらいです。

2週間経過後、申出人の労働者に、その後の状況を確認するフォローアップを行います。

パワハラに関しては、「措置義務違反」が見つかれば、労働局の「勧告」「企業名公表」もあり得ます。

「助言」で解決しなければ、労働局の紛争調整委員会で実施される「あっせん、調停」を私たちが受け付けて、次に進むことになります。 意外と解決に向かうケースも多く、職場環境を良好に保つためには有意義な制度です。