所長からの今月のひとこと【㉘】~実際にあった労働相談より~

第28回は、「令和7年4月からの雇用・労働・年金の制度変更について」です。

「雇用・労働関係」

・出生後休業支援給付の創設

子の出生後の一定期間内に両親がともに14日以上の育児休業を取得した場合に、既存の育児休業給付と合わせて休業開始前の手取り10割相当を支給する「出生後休業支援給付金」を受給できるようになる。

・育児時短就業給付の創設

子が2歳未満の期間に時短勤務を選択した場合に、時短勤務時の賃金の10%を支給する「育児時短就業給付金」を受給できるようになる。

・雇用保険における自己都合離職者の給付制限の見直し

自己都合離職者の雇用保険の基本手当(失業給付)における原則の給付制限(※)期間を2か月から1か月に短縮する。

自己都合離職者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限なく、基本手当を受給できるようになる。

・高年齢雇用継続給付の給付率引下げ

高年齢雇用継続給付(※)について、最大給付率を各月に支払われた賃金額の15%から10%に引き下げる。
(※)60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の雇用保険の一般被保険者が受け取ることのできる給付。

・雇用保険料率の改定

雇用保険の失業等給付に係る保険料率を0.1%引き下げ、雇用保険料率全体で14.5/1,000(労働者負担:5.5/1,000、事業主負担:9/1,000)とする。

・子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

子の看護休暇の対象となる子の年齢を小学校3年生まで(現行は小学校就学前)拡大し、取得事由を感染症に伴う学級閉鎖等に拡大等する。

所定外労働の制限 (残業免除) の対象となる子の年齢を小学校就学前まで(現行は3歳未満) 拡大する。

・育児休業の取得状況の公表義務の拡大

常時雇用する労働者が1,000人超の事業主には男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられているところ、300人超の事業主に拡大する。

・介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、事業主が介護休業や介護両立支援制度等に関する事項の周知と利用の意向確認を個別に行うことを義務付ける。

介護に直面する前の早い段階(40歳等)で、労働者等への介護休業や介護両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を事業主に義務付ける。

・次世代法に基づく一般事業主行動計画に関する見直し

次世代法に基づく一般事業主行動計画の策定時に、育児休業等の取得や労働時間に係る状況把握・数値目標の設定を事業主に義務付ける。

「年金関係」

・国民年金保険料の改定

令和7年度の保険料額は17,510円。

・年金額の改定

令和7年度の年金額(月額)は、昭和31年4月1日以前生まれの者は69,108円(老齢基礎年金(満額):1人分)、昭和31年4月2日以降生まれの者は69,308円(老齢基礎年金(満額):1人分)。
※年金額は、賃金や物価の変動に応じて毎年度改定を行う仕組みとなっており、令和7年度の年金額は、令和6年度から1.9%の引上げとなる。

・年金生活者支援給付金額の改定

公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が一定額以下の者への生活支援のための年金生活者の給付金について令和7年度の給付基準額は5,450円(月額)。
※給付基準額は、物価の変動に応じて毎年度改定を行う仕組みとなっており、令和7年度の給付基準額は、令和6年度から2.7%の引上げとなる。