所長からの今月のひとこと【㉔】~実際にあった労働相談より~
第24回は「休憩」についてです。
1.休憩か、労働時間か
休憩時間とは、「単に作業に従事しない手待ち時間を含まず労働者が権利として労働から離れることを保証される時間の意であって、その他の拘束時間は労働時間として取り扱うこと」(昭和22.9.13発基17号)とされています。
「電話番をさせながら休憩を取らせる、休憩中に来客対応をさせる」ような場合は、休憩を取らせたことにはならず、労働時間として評価されます。
2.分割付与
休憩は分割して与えることも可能ですが、「必要以上に短い時間」を設定することは認められません。(例えば、15分ずつ与えるとした場合、食事をとる時間も十分に確保されないので、認められないケースが多いです)
3.休憩の付与義務
休憩時間は、労働時間の長さに応じて、以下の通り与えなければなりません。
・労働時間が6時間以内の時…付与しなくてもよい。
・労働時間が6時間を超え8時間以内の時…少なくとも45与えなければならない
・労働時間が8時間を超えるとき…少なくとも1時間与えなければならない。
8時間を超えて長時間労働になる場合に関しては、労働基準法の決まりはありませんが、労働生産性が低下しないように注意しましょう。
4.休憩の時間の適用除外
次の(1)から(4)のいずれかに該当するものについては休憩の規程は適用しません。
(1)運輸交通業、郵便・信書便の事業における乗務員で一定の者
(法別表第一第四号〔運輸交通業〕に掲げる事業又は郵便若しくは信書便の事業に使用される労働者のうち、列車、気動車、電車、自動車船舶、または航空機の乗務員で長距離にわたり継続して乗務する者)
※客室乗務員は含まれますが、列車内販売員は含まれません。
※長距離にわたり継続して乗務する者とは、運行所要時間が6時間を超える区間について連続して乗務し勤務する場合をいいます。
(2)(1)に該当しない乗務員で、停車時間が休憩時間に相当する者
(3)屋内勤務者30人未満の日本郵便株式会社の営業所の職員
(4)法41条該当者
・農業、水産業等の事業に従事する者
・管理監督者、機密の事務を取り扱う者
・監視・断続的労働従事者(所轄労働基準監督署長の許可が必要)
5.休憩の付与の3原則
(1)途中付与の原則
休憩時間は、労働時間の途中に与えなければならない。(例外はありません)
(2)一斉付与の原則
休憩時間は、事業場の労働者に一斉に与えなければならない。
但し次のいずれかに該当する場合には、一斉に与えなくてもよい。
- 労使協定がある場合。(労使協定は監督署への届け出不要)
- 以下の業種に該当する場合。
運輸交通業・商業・金融広告業・映画演劇業・通信業・保健衛生業・接客娯楽業・官公署
詳細は、総務省発行の「日本標準産業分類」を基に労働基準監督官が判断しますので、不明な場合は、監督署へお問い合わせください。
- 坑内労働の場合
<参考>
(派遣労働者の場合)
休憩時間を一斉に与える義務は派遣先の使用者が負うこととされており、派遣先の使用者は、当該事業場の自己の労働者と派遣中の労働者とを含めて、全体に対して一斉に休憩を与えなければならない。
(3)自由利用の原則
休憩時間は労働者に自由に利用させなければならない。ただし、次の1~4のいずれかに該当する場合は、自由に利用させなくともよい。
- 警察官、消防官吏、常勤の消防団員、、准救急隊員及び児童自立支援に勤務する職員で児童と起居をともにする者
- 乳児院、児童養護施設及び障害児入所施設に勤務する職員で児童と起居をともにする者(予め所轄労働基準監督署長の許可が必要です)
- 児童福祉法第6条の3第11項に規定する居宅訪問型保育事業に使用される労働者の内、家庭的保育者として保育を行う者(同一の居宅において、一の児童に対して複数の家庭的保育者が同時に保育を行う場合を除きます)
- 坑内労働の場合
<参考>
休憩中の外出を許可制とすることは、事業場内において事由に休憩しうる場合には必ずしも違法にならない(昭和23.10.30基発1575号)
6.最後に
「休憩を取らせてくれない」と労働者が労働基準監督署に申告し、長時間労働等に対する是正指導が行われたというケースもあるようです。労働生産性の観点からも、適切に休憩を取らせるように心がけましょう。