所長からの今月のひとこと【㉑】~実際にあった労働相談より~

第21回は、「就業規則等の労務管理上のチェックポイント」をご案内します。

1.就業規則が適正に作成され、労働者に周知されているか。

(1)就業規則作成

①就業規則は、法定の記載事項を規定しているか。

②就業規則は、過半数代表者の意見書を添付して作成し、過半数代表者を選出する場合、使用者の意向により選出されていないか。

(2)就業規則の内容

①始業、終業の時刻(労働時間)及び休憩時間は適切に定められているか。

(1日8時間、週40時間の範囲内で(特例事業は44時間)定められているか?)

②休日、休暇に関する規定は、適正に定められているか。(休暇と休日の違いは明確か?)

③有期労働契約における無期転換ルールは、ルールに違反する運用はされていないか。転換後の労働条件は明確になっているか。

⑤最新の法改正に対応しているか。

(3)就業規則の周知

就業規則は、労働者が現場において自由に閲覧できるようになっているか。(労務トラブルの際には周知による「就業規則の有効性」がたびたび問題になります。)

2.労働条件は労働者に明示されているか

(1)労働条件の明示

①労働契約の締結に際して、法定項目を記載した労働条件通知書を全ての労働者に交付しているか。

②有期労働契約の締結に際して、特定事項(昇給、退職金、賞与、相談窓口)を記載して交付しているか。

③有期労働契約の更新をしない場合、その理由を明示しているか。

3.労働時間が適正に管理されているか。

(1)準備、後片付け等の労働時間の適正な管理

始業前の準備行為や終業時刻後の後片付け等に要した時間を労働時間として管理しているか。

(2)労働時間の適正な把握

①始業・終業の時刻は、その都度把握され、記録しているか。

②労働時間の状況は、タイムカード等の客観的な方法等により把握され、記録されているか。

(4)労働時間の管理

①労働時間について、切捨て等の端数処理は行われていないか。

(割増賃金計算方法における端数処理(昭63.3.14基発150号)

②労働基準法に規定する管理監督者の範囲は、適正か。

(5)労働時間制度

①フレックスタイム制は、就業規則に規定し、労使協定が適切に締結されているか。

②変形労働時間制採用の場合、適切に運用されているか。

4.休暇、休日・休憩時間、年次有給休暇が適正に付与されているか。

(1)休暇の適正な付与

出産休暇、育児・介護休業等は、法改正も踏まえて、適正に規定されているか(出生時育児休業等)。

(2)休日の適正な付与

月給者に対して付与された休日数は、1週間に1日(変形休日制の場合4週間に4日)の条件をクリアし、就業規則等に

定める日数を適切に付与しているか

(3)休憩時間の適正な付与

①休憩は、一斉に取得し、かつ、自由に利用できるようにしているか。そうでない場合、労使協定を適切に締結しているか。

(4)年次有給休暇の適正な付与

①年休の付与は、許可制ではなく届出制にしているか。

 (年次有給休暇に関する最高裁判決(昭48.3.6基発110号)

②短時間労働者等に対して、比例付与により年休を付与しいるか。

③年5日付与の義務は、就業規則に規定され、確実に付与されているか。

5.時間外・休日労働が36協定の範囲内で対応されているか。

(1)36協定の締結・届出

36協定を締結し、予め有効期間の始期までに所轄労働基準監督署長に届出ているか。

(2)時間外・休日労働に関する、協定の範囲内での対応

①時間外・休日労働は、36協定の定める上限時間の範囲で行わせているか。

②特別延長条項に基づく時間外労働は、協定に定められた特別延長の手続きを経ているか。

③時間外労働が限度時間を超えて特別に延長された場合、健康福祉確保措置は実施されているか。

6.ハラスメントの窓口は適切に設置され、機能しているか。

7.法定帳簿(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿等)及びその他労働関係に関する書類が適正に整備・保存されているか。

8.「賃金の締め日・支払日は明確になっていて、割増賃金含め、計算・支払が適正に行われているか。

他にもチェックすべき項目は多数あります!

全国社会保険労務士会連合会では、社労士による「経営労務診断®」認証マーク制度として、「社労士診断認証制度」を推奨しています。「企業上場の際の企業価値判断基準」「働きやすい企業としての信頼度アップ」「優秀な人材のリクルート」のために是非この制度をご活用ください!