所長からの今月のひとこと【⑯】~実際にあった労働相談より~

第16回は、令和6年4月1日施行される「裁量労働制改正のポイント」です。

「裁量労働制」とは、「みなし労働時間制」の一つで、「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」があります。

「みなし労働時間制」とは、労働基準法において、その日の実際の労働時間にかかわらず、その日はあらかじめ定めておいた時間労働したものとみなす制度です。

「専門業務型裁量労働制」とは、

業務の性質上、その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量に委ねる必要があるため、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして定められた20の業務の中から、対象となる業務等を労使協定で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使協定であらかじめ定めた時間労働したものとみなす制度です。

「企画業務型裁量労働制」とは

事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務の性質上、これを適切に遂行するには、その遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、業務遂行の手段や時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務等について労使委員会で決議し、労働基準監督署に決議の届出を行い、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使委員会の決議であらかじめ定めた時間労働したものとみなす制度です。

【今回の法改正の注意点】

  1. 「専門業務型」も「企画業務型」も「36協定」とは違い、経過措置はなく、届出の「有効期間」が残っていても、新たに要件を備えて出し直す必要があります。
  2. 届出には「本人の同意書」の添付は不要で、「本人の同意」は届け出後でも構いませんが、同意を得た後に裁量労働制の適用はスタートすることになります。
  3. 「企画業務型」の「定期報告」は、1回目最初の決議届後6か月以内、その後1年以内ごとに1回ですが、2回目以降の「1年の起算日」は、最初の手続きした日から1年以内ではなく、1回目の定期報告を提出した日から1年以内です。
  4. 同意をしなかった場合に、「不利益取り扱いをしない」旨を労使協定に定める必要があります。
  5. 「みなし労働時間制」といえども、「日」「週」「深夜」「休日」の残業代が発生する場合があります。

「働き方改革」の一環で注目された「裁量労働制」ですが、賛否両論の意見もあります。

労使双方にとってメリットもある制度なので、「長時間労働」に気を付けて上手に活用しましょう!!