所長からの今月のひとこと【㉚】~実際にあった労働相談より~
第30回は、「カスハラ」についてです。
客の迷惑行為などのカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラから働く人を守る対策や、就職活動中の学生などへのセクハラ対策を企業に義務づける改正労働施策総合推進法が、4日、参議院本会議で可決・成立しました。東京都でも、4月から「カスハラ防止条例」が施行されています。
ここでは、改めて「カスハラ」の定義等を確認しておきましょう。
厚生労働省では、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、 当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの。」とカスハラを定義しています。すべての顧客からのクレームが対象となるわけではないことに注意しましょう!
<東京都カスハラ防止条例>
条例の禁止規定に違反した場合の「罰則規定」はありませんが、ガイドラインにおいて、「カスハラの代表的な類型」「顧客・就業者・事業者の責務」が示されており、「カスタマーハラスメント防止に必要な事項」も示されています。罰則を設けている都道府県もあり、今後の行方に注目です。
<改正労働施策総合推進法>(国)
施行日は、「交付日から1年6か月を超えない範囲内」とされ、早ければ令和8年4月から事業主の措置義務がスタートするかもしれないと言われています。(詳細は未定)
法案は「パワハラ」同様、事業主の雇用管理上の措置義務が定められており、「相談窓口の設置」等が義務付けられています。
カスハラ対策は、「従業員が安心して働ける職場環境づくり」の重要なポイントになってきており、「人手不足解消」「雇用の維持」において大切な役割を果たすようにもなってきています。
厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」等を活用し、早めの対策をするようにしましょう!